離れた場所にある被写体を大きく写せて、ボケ味も綺麗な望遠レンズ。その魅力と使い方をご紹介します!
野鳥・野生動物から身近なペットといった動物撮影やスポーツ写真など主に遠い被写体を撮影する時に使われる望遠レンズ。ただ遠くの物をグッと引き寄せて撮るだけでなく、美しいボケ味や圧縮効果など、望遠レンズならではの特性を活かして様々な表現ができるのが大きな魅力です。望遠レンズの特性を理解すれば、驚くほど素敵な写真が撮れるはずですよ。
望遠レンズとは焦点距離の長いレンズのことを言い、遠くにある被写体を大きく写すことができます。例えば動物園の動物等、近づけない物を撮影する時にも便利です。中でも70-200mm や100-400mm等の望遠ズームレンズは、動物園撮影や子供の運動会撮影には必須と言ってもいいでしょう。また、野鳥や野生動物撮影では、気づかれないよう遠くからそっと撮影することが多いため、500mmや600mmの超望遠レンズがよく使われます。
これらの望遠レンズを使用する時に注意しなくてはならないのがブレです。レンズの焦点距離が長いほど、手ブレを起こしやすくなるので、シャッター速度を速くしたり、三脚を使用する等してブレを防ぎましょう。また、望遠になるほどレンズが重く、扱いが難しくなるので、初めて望遠レンズを買う方には比較的軽くて手持ち撮影ができる200mmくらいまでの望遠ズームレンズがオススメです。
野鳥撮影等では、超望遠レンズと一緒に1.4倍や2倍のテレコン(テレ・コンバージョン・レンズ)も使用されます。これはレンズとボディの間に装着するもので、焦点距離を伸ばしてくれる補助レンズです。例えば400mmのレンズに2倍のテレコンを装着すると、焦点距離は800mmになるので、より大きく被写体を捉えることができるようになります。ですが、レンズのF値も2倍になるため、使用するレンズの開放値やカメラの機種によってはAFが動作しなくなる場合もあり、注意が必要です。
動物園では望遠レンズは必須です。檻越しの動物も望遠レンズでぼかせば綺麗に撮れますよ。また、野鳥撮影では三脚+超望遠レンズでしっかり狙います。
望遠レンズの特性として覚えておきたいのは、画角が狭いことです。そのため、広い景色等を撮るのには向いておらず、一部分を大きく写したい時に力を発揮します。ここで、同じ被写体を標準レンズと望遠レンズで撮った写真を見比べてみましょう。同じ場所にあるお菓子の家を撮ったのに、写り込んだ背景が全く違いますよね。標準レンズで撮った写真は余計な物が写り込んでしまっていますが、望遠レンズでは画面いっぱいに青い壁紙が写されています。これは画角の狭さを利用したもので、このように幅の狭い背景紙でも、望遠レンズなら余計な物を入れずに綺麗に写すことができるのです。
もうひとつの特性は、遠近感のない写真に仕上がることです。これを「圧縮効果」と言います。ここでまた二枚の写真を見比べてみましょう。子どもを神社で撮った写真ですが、標準レンズで撮った写真は背後にある灯籠との距離を感じます。一方、望遠レンズで撮った写真は子どものすぐ後ろに灯籠があるように見えますよね。このように望遠になるほど被写体と背景の距離感がなくなり、奥行きの少ない写真に仕上がるのです。被写体だけでなく、遠くにある物も大きく写したい時はこの圧縮効果を利用しましょう。
左の写真は望遠レンズ、右の写真は標準レンズで撮影したもの。短い幅の壁紙を使ってペットや子供、小物等を撮る場合、望遠レンズで撮影すると背景が切れずにシンプルに綺麗に決まります。また遠くの物も大きく写すことで、インパクトのある写真に仕上がります。
さらに望遠レンズのもうひとつの特性として、ぼけやすさがあります。背景をぼかすためにはいくつかの方法がありますが、そのひとつにレンズの望遠側で撮るという方法があるのです。これは焦点距離が長い程ぼけやすいという特性を活かしたもので、例えば同じ被写体を同じ設定で撮った場合、望遠レンズで撮った写真の方が広角や標準レンズよりも背景が綺麗にぼけます。
この特性を利用して、花や人物、ペット等を撮れば、被写体が引き立った柔らかい印象の写真に仕上がります。私たちが被写体としているのは主にペットと子どもですが、このような被写体を撮る時は背景がふんわりとぼけた写真がよく似合うので、70-200mmの望遠ズームレンズを愛用しています。
また、望遠で撮ることで小さな被写体を大きく写すことができるので、小さな花の撮影にもピッタリです。花壇で綺麗な花を見つけたら、望遠レンズを構え、その花が大きく写るようにフレーミングします。こうすることで主役の花は引き立ち、それ以外の花たちは優しくぼけて引き立て役となってくれるのです。また、遠くから見ると密集して見える花も近づいてみると意外とスカスカなんてことはよくあります。こんな時も望遠レンズの圧縮効果で花同士の隙間をなくし、狭い範囲を切り取ることで電線や看板などの余計な要素を省くことができるのです。
人物やペット、花を撮影する場合、背景をぼかしてあげれば主役が際立ちます。さらに、ちょっと意識して前ボケを入れれば、作品度もよりアップしますよ。
© OGAWA AKIYO & YUZAWA YUSUKE
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