写真の雰囲気を左右するボケ味は奥が深いもの。
コツを覚えて、ボカしを楽しみながら撮影にチャレンジを!
作品の中にボケがあると、主役が引き立ち、ふんわりとした優しい印象に仕上がります。花・人物・ペット・料理・小物等の撮影時にボケ表現を使うと、お洒落度がグッと増しますよ。カメラの設定とコツを覚えて、ボケ表現を楽しみましょう!
ボケとは「ピンボケ」という言葉があるように、ピントが合っていないことをいいます。ここでは「ピンボケ」のような失敗写真ではなく、意図的にボカす方法をお話しします。犬とバラの写真を見てください。どちらも被写体にはピントが合っていますが、背景がふんわりとボケています。こうすることで被写体を目立たせるだけでなく、見た目にも優しく綺麗な写真に仕上がるのです。
このように被写体以外をボカすには、絞り(F値)の設定が必要です。カメラを絞り優先モードにし、F値を設定してみましょう。F値を小さくするとピントの合う奥行きが狭く(ボケやすく)なり、F値を大きくするとピントの合う奥行きが広く(ボケにくく)なります。つまりF値を小さくするほどボケ味が大きくなるので、私たちはF値を一番小さい数字(=開放値)で撮ることが多いです。開放値はレンズによってさまざまで、F1.2のレンズもあればF4のレンズもあります。単純にボカすことだけ考えるのであれば、F1.2のような開放値の小さなレンズを使うのがベストですが、開放値の小さいレンズほど高級レンズとなりますよ。まずはご自身の持っているレンズの開放値で撮影してみてくださいね。
それから、被写体と背景の間の距離が離れるほど、ボケ味というのは大きくなります。F値と背景との距離をうまく組み合わせて、理想のボケ味の写真を撮ってみましょう。
ビー玉の写真は、中央にある大きな青いビー玉にピントを合わせています。F2.8で撮影した写真は主役のビー玉以外がふんわりとボケ、F22で撮影した写真は手前から奥のビー玉まで、しっかりピントが合っているように写ります。
ボケ味のある写真をじっくり試したいときには、小物や料理、花等の静物撮影がとくにおすすめです。撮影する際は三脚にカメラを据え、背面液晶を使って撮影する方法がよいでしょう。ご自宅での小物や料理、公園の花等をじっくり撮れる機会には、構図をしっかりと決め、絞り値の違いによるボケ味の変化をみて感覚をつかみましょう。その場の状況や表現方法によって、絞り値を自在に変えられるようになれば完璧です。
さて、三脚を使った撮影をおすすめする理由は、液晶画面を見ながら小物の配置を決められるだけでなく、しっかりとピントを合わせられるからという理由もあります。例えばF1.2のような値で撮影するとボケ味は素晴らしいのですが、ピント合わせがとてもシビアになります。撮影者が少し動くだけでピントがずれてしまうので、手持ちではなく三脚を使ったほうが間違いないのです。
また2つの物を被写体にした場合、開放値で撮ると片方にピントが来なくなります。この場合は、少し絞って両方にピントが合うようにしましょう。じっくり撮れる静物撮影では、前ボケも入れやすいですよ。被写体に被らないように液晶画面を確認しながら構図を決めれば、作品の完成度がグッとアップします!
料理をイメージっぽく撮るときにも、背景ボカしは効果的です。主役の料理にピントを合わせ、その他をボカせばお洒落な写真の完成です。また料理の写真では、すべてを入れこまずに、ある程度カットするようにフレーミングするとバランスよく仕上りますよ。
人物やペットをイメージっぽく撮りたいときにも、背景ボカしは有効です。ただ、静物とは違って動きがあるので、ピント合わせに苦労することもあります。そのようなときは少し絞ってピントが合う奥行を広げましょう。
屋外で背景ボカしを楽しみたいときには、望遠レンズを使うと便利です。私たちは200mm前後のレンズを愛用していますが、これくらいのレンズを使うと背景の写りこむ範囲も狭くなるので、簡単に背景ボカしを楽しめます。また、玉ボケを入れこむのにも望遠レンズが威力を発揮します。玉ボケを入れる方法は簡単!まずはキラキラした点光源を探します。例えば葉に反射する光や水面のキラキラ等。これさえ見つかれば、そのキラキラが背景になるようなアングルを探して撮影するだけです。このときも、キラキラの光と主役との距離がある程度離れていないと玉ボケになりづらいので注意しましょう。
それから屋内で撮影する場合は、明るい単焦点レンズを使うと便利です。50mm前後のレンズを使って開放値で撮れば、ご自宅でも簡単にキレイなボケ味を楽しめます。ボカすことで主役が引き立ち、さらに生活感のあふれるお部屋の粗等も隠せるので、一石二鳥ですね!開放値にしてピントが合いづらい場合は少し絞り、シャッター速度が遅くなる場合はISO感度を上げて手ブレを防ぎましょう。
猫の写真は35mmのF1.4で撮影したものです。このように単焦点レンズの開放値でハイアングルから撮影すると、猫の顔にのみピントが合って体はボケてしまうような、大きなボケ感を楽しめます。
© OGAWA AKIYO & YUZAWA YUSUKE
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