元気に走ったり、力強く羽ばたいたり。動物たちが見せる動きは生命力に溢れ、とても美しいものです。
その一瞬の美を写し、躍動感のある迫力満点の作品を残しましょう。
“動きもの”の撮影ではカメラの設定も重要ですが、何よりも動物をよく観察する力と、その一瞬の動きを逃さず撮影する瞬発力が必要です。いつでもカメラを構えられる状況をつくりつつ、根気よくその瞬間を待ち、撮影にチャレンジしてみてくださいね。
今回は主に「走る」「飛ぶ」「水を使った動き」の撮影方法についてご紹介します!
動きのある動物写真を撮りたいと思ったら、はじめに挑戦したいのが走っている瞬間の撮影です。犬や猫などの身近な動物を被写体に比較的簡単に撮ることができるので、ここから始めて動いている被写体を撮ることに慣れていきましょう。
まずはカメラの設定です。feel vol.57でもご紹介した通り、速い動きをピタッと止めて撮るにはシャッター速度を速めに設定し、ピントを追従モード(AIサーボ、AF-C)にして、連続撮影モードで撮影します。これらの設定は、動く被写体を撮るときの基本の設定になります。特に、ピントの追従モードについては意外と知られていないので是非覚えてくださいね。追従モードではシャッター半押しの間、AFフレーム内にある物にピントを合わせ続けてくれます。この設定でピントがしっかりと合った写真を撮りましょう。
撮影するときはできるだけ低い位置から狙いましょう。そうすることで被写体の表情をしっかりと捉え、大きく飛び上がった瞬間の躍動感を表現できるのです。私たちは寝そべってファインダーを覗きながら撮ることが多いのですが、背面液晶を見ながらカメラを地面に置くようにして撮るのも有効です。撮りやすい方法を見つけて最高の走り姿を撮ってくださいね。
連続撮影をしていると、カッコよくジャンプをした瞬間やカワイイ表情だけではなく、走っているときならではのちょっとぶさいくな顔が撮れることも。また全身をぶるぶると震わせている瞬間もとっても面白いですよ。高速シャッターで、顔がくしゃっとなったり、目を見開いたりしている普段は見られない表情も撮ってみましょう。
動きのある動物写真として外せないのが空を飛んでいる鳥です。翼を広げ、大空を飛ぶ姿は実に優雅ですよね。ちょっと難しく感じるかもしれませんが、カメラの設定は走る動物を撮る場合と同じ。あとは大空を自由に飛んでいる鳥をフレーム内に収めてシャッターを切るだけです。
とは言え、素早く飛び回る鳥を捉え続けるのはなかなか大変です。低空を飛んでいるすずめなどの鳥は、動きが機敏でカメラで追うのが難しいですが、上空を飛んでいる鳥は比較的カメラで追うのが楽なので、慣れないうちは上空を飛ぶ鳥を狙うようにしましょう。このときに気をつけたいのが被写体の黒つぶれです。空を背景とした撮影だと、逆光撮影時のように被写体が暗く写ることがあるので、このような場合は露出補正を行ないます。プラス補正をして被写体を明るく写しましょう。
また、飛んでいる昆虫を撮るのも面白いですよ。なかでもミツバチは見ためも可愛らしく、一緒に花も写るので、とてもキレイな写真に仕上がります。ただ、鳥に比べて難易度はちょっと高め。ハチを大きく写すためにはマクロレンズを必要とし、ピント合わせもシビアなので、マニュアルフォーカスで撮ることがほとんどです。かなりの根気がいりますが、とてもステキな作品になるので挑戦してみてくださいね。
黒つぶれしやすいということを利用して、シルエット撮影をしてみるのも面白いですよ。夕焼け空をバックにすれば、シルエットが映えて印象的な写真に仕上がります。
また、鳥が飛び立つ瞬間は比較的狙いやすく、飛んでいるときとは違う動きを見せてくれるのでオススメです。
動きのある動物写真に求められる大切なポイントは躍動感。そして、その躍動感を一気にアップさせるのが水なのです。動いている動物に水が加わることで躍動感が増し、見る人に「すごい写真だ!」と思わせることができるのです。
水面から飛び立とうとする白鳥の写真を見てください。蹴り上げられて舞い上がる水しぶきが迫力感を倍増しています。バシャバシャッと大きな音をたてながら勢いよく走る音までもが聞こえてきそうで、動きの激しさを感じるはずです。また、水中を華麗に泳ぐペンギンも水泡があることで一気にスピード感が増します。これは空を飛んでいる鳥では表現できない水中ならではのスピード感ですね。それから、ニホンザルやカピバラの写真も水しぶきがあることで独特の躍動感が出ていると思います。
絵の中に水しぶきが加わることで迫力、スピード感、躍動感が増すのです。目では捉えることのできない水の動きを高速シャッターで写し止めている写真ならではの表現です。ただ、陸上の動物を撮るときに比べてシャッターチャンスはとても短いため、動物たちが水しぶきを上げるわずかな瞬間を見逃さない観察力とそれを捉える瞬発力がより必要になってくるのです。
特に難しいのは、水中のペンギン。もともと難易度の高い水族館での撮影に加え、水面から水中に潜った後の数秒しか水泡がでないため、その瞬間を捉えるのは至難の業です。挑戦してみたい方は根気よく撮影に挑んでください!
© OGAWA AKIYO & YUZAWA YUSUKE
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