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曇り日のフラットな光で濃淡の美を切りとろう
オレンジ色の花と緑の葉、そしてシラカバの森。レンゲツツジとシラカバとの相性は抜群です。レンゲツツジの花期は梅雨時。フラットな光の雨の日や曇りの日に撮影したほうが、いい結果が得られます。晴天時の強い光ではコントラストがきつく、明暗差によって木々にまだらができてしまうからです。望遠レンズを使用して、できるだけシラカバの木の並びがよい部分を切りとります。レンゲツツジにピントを合わせ、絞りを絞ってパンフォーカスで撮影します。
EOS 5D Mark III・EF70-200mm F2.8L IS II USM(焦点距離:135mm)・絞り優先AE(F11・1/8秒)・ISO200・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景

カメラアングルの工夫で画面に入れたくないものを隠そう
「一目百万本」と呼ばれるツツジの名所、葛城山(奈良県)。青空を背景に満開のツツジを切りとりました。ツツジの葉は太陽光でテカりやすいので、PLフィルターで反射を抑えます。広角レンズでPLフィルターを使用すると「偏光ムラ」や「片効き」が起こりやすいため、空をあまり広範囲に入れない構図を考えます。
見頃を迎えた葛城山は、多くの人でにぎわいます。そこでカメラアングルを低くし、散策道を歩く観光客を満開のツツジで隠しました。
EOS 5D Mark III・EF24-105mm F4L IS USM(焦点距離:50mm)・-1補正・ISO200・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景

雨や雨上がりのツツジはしっとりした色彩に注目を!
森の中にひっそりと咲くツツジは、広角レンズで切りとってみるとよいでしょう。実際には密集していないツツジであっても、画面下や左右までツツジで覆い、花の切れ目、終わりを見せないようにフレーミングします。
雨上がりや雨の日のツツジは、しっとりとした色が美しくフォトジェニックです。雨の中、しかも低いカメラポジションから見上げるようにして撮影していると、水滴がフィルターに付きやすいので注意しましょう。シャッターを切るたびに水滴がないことを確認して、手早く撮影します。
EOS 5D Mark III・EF24-105mm F4L IS II USM(焦点距離:28mm)・絞り優先AE(F9.5・1/4秒)・ISO200・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景
ポイントまとめ
山や森、公園などの植え込みでも見られるツツジですが、撮影するなら雨や曇りの日がおすすめです。晴れた日に撮影すると、木立の影が目立つ上にコントラストが強くなり過ぎ、微妙な濃淡差をきれいに表現しにくいからです。
1)曇り日のフラットな光で濃淡の美を切りとろう
2)カメラアングルの工夫で画面に入れたくないものを隠そう
3)雨や雨上がりのツツジはしっとりした色彩に注目を!
写真・解説 斎藤裕史